事実は小説より奇なり | 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 492

事実は小説より奇なり

3週間ほど前のことだ!情報は、刻々と変化するから今は、大分変っているかも知れない。その場合は、お許し頂きたい!

私が、何かを考えるとき、また仕事の後クールダウンをするときにいつも行く喫茶店が、オフィスのすぐ傍にあります。自然に出来た常連客の友達が来ていて、井戸端会議が始まる時もあるんですよ!それは、政治や経済の時もあれば、大谷くんを始めとしてスポーツや芸能、良く言えば文学に関する話にも飛び火することもあります。ニュースを基に、事件の話になることもたまにありますが、所詮、井戸端会議ですから大した結論も無く「お先に!」と言って別れるのです。お名前を知っているひと、忘れてしまったひと、聞きそびれて知らないひともいます。もちろん、住所なんか知りません!赤坂に職場があり、通っている方も居れば、散歩がてらに立ち寄られる方もいます。しかし、2週間も会えないと病気でも?と、気になるものです。

行司役は、この店を切り盛りしているオーナー・マスターです。何年か前まで、このビルをご兄弟で持って、1階を自分好みの喫茶店にした方の奥様が経営なさっていましたが、お嬢様が遅い出産をされて孫の面倒を看たい!それに自由に“おばあちゃま”を謳歌したいと、白羽の矢をこのマスターに当てたのです。マスターは、珈琲のプロ中のプロで、有名珈琲メーカーの腕利きの営業マンでした。と、自分で豪語しています。ランチの美味しいカレーが有名で、BSのキャラクター番組で紹介されたほどです。が、本来は、珈琲に関する知識と喫茶店経営の知識が豊富で、プロの珈琲店を営業するための教室の講師を務めるほどなんです。

そう、3週間前です。マスターの郷里は、北海道の札幌です。つい前日母親が逮捕されたニュースの話になったのです。マスターには、彼が目の中に入れても痛くないほどのお嬢さんがいるのです。先に逮捕されたお父さんの気持ちが解るだろうと、私が話を振ったのです。
マスターは、私に向かってこんなことを言いました。
「娘が、蹂躙された父親の気持ちになったらボクも相手を許しませんよ、絶対にどんなことがあっても許しませんね!しかし、可笑しな点がありますよ、だってそうでしょ?娘に罪をかぶらせることなど、絶対に避けますよ!全て自分がかぶる覚悟でやりますからね、娘や妻に類が及ぶ計画なんて考えられませんね」
私が「ボクもそう思うよ、何か変なんだよ!殺人は許せないけど、精神医学者のドクターなんだから、ある程度自分のやった後のことが判るはずだろ?小説としても筋書きや視点が変だと思うんだよね」
「もしかしたら、被害者とお父さんの関係が複雑かもしれませんね!無責任に言えば、被害者とお父さんが懇意だった。そんな恨みを買うような被害者だったら、お母さんだって危ない!殺人は別にしても、被害者が要因だったら加害者が被害者になるもの」