まだまだコロナ| 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 351

まだまだコロナ

9月の4連休は、ド豪(えら)い騒ぎのように感じた。
またまたコロナ話で恐縮だが、テレビのニュースを観ている限り、京都嵐山近辺、特に渡月橋が真っ二つに割れるほどの人混みである。旧軽井沢の通称軽井沢銀座もコロナに感染させてくれ~ィ!と、言っているような人たちがいっぱい居る感じがする。帰りの高速道路の混雑ぶりにも目を見張った。「どこどこから40キロ以上の渋滞」とアナウンサーが叫んでいる。空からのサービスエリアの映像も駐車場が満杯に写っている。

1、2週間前に草津の湯本が閑散として、観光客がほとんど居ない中で湯もみ踊りのパフォーマンスを映し出されていたのを思い出すと、やはり観光客でごった返す所で赤い蹴出しに前掛け姿の女性が多くの観光客の前で“湯もみ唄など歌っていた方が様になる。無観客の前で「♪草津よいとこ、一度はお出で~ぇ!どっこいしょ!」は、やはり虚しい。旅館の女将や土産物店の主人、役場の観光局の担当などが「やはり東京の人が旅に来てくれないと困る」と嘆いていたのが僅か前であった。
それが、同じ人たちがニコニコ顔で再び映像に写り「これで何とか持ち直すことができました」と、したり顔になっている。箱根湯本の商店街の映像など、完全に以前に戻ってしまったように見えた。箱根名物湯ノ花饅頭のホクホクとした煙も映像になる。しかし、映像を観ると若者や小さな子供たちの手を引く両親ばかりだ。私などの年寄りたちは、怖くて買い出しに家を出るにも躊躇する。

日本人は、不思議な文化を持っているなと感じる。お代官様が、マスクをして、よく手洗いやウガイをして、不要不急以外は家から出るな、と言われれば「へい!」とお代官様の言う通りにする。その文化には、外国人も驚いているような話を聞く。お代官様が「さぁ、もう大丈夫そうだし、経済のことを考えれば、旅に出て金を使え!」と言われれば、「へい!」と言って今まで経験したことの無いような怖いウイルスの中に飛び込んで行く!太平洋戦争時代の特攻を思い出す。
お代官様の言う「家に居ろ!外に出るな!」と「旅に行け!その金の半分は儂がもってやる!」の境がまったく分からないのに「お代官様がそう言ったから!」だけが判断の基準になっているのが怖い!テレビのトーク番組でお医者様が経済学者のような言い方でコメントしているのを聞いていると恐怖を覚えるし、テレビ局に忖度して自分の気持ちに逆らって物事を語る医療学者ばかりを使うテレビ局が、この日本のジャーナリズムだと思うと悲しくなる。

確かに、コロナで経済は疲弊することは間違いないと言えるが、我々は、学問の世界で生きているのではない。コロナにかかれば家族の死のリスクはあるのだ。夏休みも出られなかった子供たちには可愛そうだが、我慢を学ぶのも大切ではないだろうか?今まで経験したことの無い感染症!と言い、あんなに国民に嘆願していたお代官様の気持ちがコロリと変わったのには、何かどす黒い影を感じはしまいか?どちらにしても、この結果は、今週か来週には出る!「我(われ)事に於て後悔せず」と、言えるだけの腹を持っていればいいのだが……