チンチキ ドン チキドン | 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 307

チンチキ ドン チキドン

「開演にあたり、お客さまにお願いが御座います!無断で録音をしたり、お写真を撮ったりされた場合、機材を拝借して削除させて頂きます!どうぞ御ゆるりとお楽しみください!」

三越劇場に入るのは、本当に久しぶりだった。銀座の三越だったか、日本橋本店だったか、何階にあったかも忘れていた。息子の嫁さんに「何処だったっけ!スマホで調べてくれる?」と訊くほどで、隣にいた息子からは「好い加減、自分で検索出来るようになれよ!」と叱られるほどだった。

劇場に入ってみて気が付いたのだが、2階席はあるが、1階もフラットな造りである。これじゃあ舞台を見るのに、人の頭しか観えやしない!落語は聞ければいいけど、芝居は観にくいだろうなぁ~!私も、ご招待を受けていながら、勝手である。しかし、やはり三越だけに立派な劇場だった。

少し早く着いたので、その階にある食堂に入って思い出した。亡くなった母の姉、日本語は難しい、この場合亡くなった母では無くて、姉の方である。まっ、ふたりとも三途の川を渡っているけど!この食堂、伯母が好きでよく我々夫婦をここで食事に誘ってくれたっけ!その夜は、家人の腹の調子がわるかったので、ふたりで“あんみつ”を食べた。その時、思い出したのだ。

劇場の中に入ると席は、中央、通路沿いであるから足が伸ばせる。楽である。全てのライトが消えた。チキドン ドンチキ、出囃しの音。見ると録音では無い。本物は、良い!
前座は、弟子の春風亭勢朝の『紀州』である。笑わせてくれる。春風亭小朝師匠の独演会である。出し物は『黄金餅』、仲入後は『竹の水仙』と『鰍澤』。後ろの席で「これ何て読むの?」とオバハンの声がする。「サンマじゃないよな」連れのジイさんの声。うるせいよ!「カジカだよ!どじょうのこと!」と言いたかったが、隣の家人から「よけいなことを」と叱られそうなので止めた!場内は、満席。完売御礼!が出ている。面白かった~ぁ!

もらったパンフレットには、12月11日アミュゼ柏クリスタルホール、14日は、磯子公会堂ホール、17日春日部市民文化会館小ホール、23日ヨコスカ・ベイサイド・ポケット、で小朝独演会があると書いてある。いずれも開演は、13時半、全席指定3600円(税込)だそうだ。また、来年1月18日は、三鷹市公会堂光のホール、25日は、横浜市青葉公会堂講堂と書かれてある。タダで、それも良い席で聞かせて頂いたので、このくらいは宣伝させて頂く。

もうひとつ、私たちの今年のクリスマス・イヴは、新宿の紀伊國屋ホールで過ごす。小朝師匠の第9回目『菊池寛が落語になる日』があるからだ。今回は、どの戯曲が種本になるのだろうか?師匠以外、誰も知らない。仲入にロビーに貼り出されるまでは!