破壊 | 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 306

破壊

「破壊」ほど不気味で恐ろしい言葉は無い。
人の死も宇宙の死も大きさは違うが、破壊だと思っている。

以前にもこのブログで書いたが、猪年は「破壊」の年だとテレビで誰かが言っていた。そして、その通りになった。嵐で家々が破壊され、大雨や堤防の決壊が人を襲い、火災で国宝を失う!まるで『方丈記』の世界のようであり、平家物語に書かれているような『諸行無常』である。「あらゆる行ないは、常では無い」という意味だと思う。こんな年も、後何日かで過ぎようとしている。

しかし、安心は禁物で「厄」というものは、その前後の年にも影響がありそうだ。厄年には、前厄もあり、後厄もある。恐ろしいことは、続くのだ。台風や大雨は、自然現象だから仕方が無いね!と、胸を張って言えるだろうか?そう思いたいのは、やまやまなれど昔の人たちが残してくれた物語から学べば、そうでもなさそうだ。問題は、人間の強欲から出ている気がする。

誰もが、戦争を恐怖する。人間が人間を破壊するのが戦争だからだ。一見、戦争なんて、この日本には関係無いと思うのだが、それは間違っているのではないだろうか!大国の動きを見れば、常に一触即発を感じる。誰もが平和を望んでいると思いたいのだが、平和では困る人間たちも居るのは確かだ。破壊があって欲が満たされる人間もいるのだ。

また、個人個人の欲が不幸せを呼ぶ。自分の欲求を満たしたくて、やってしまう行動が自然を破壊していく。テレビでニュースを観ていると、高価な家も、高価な家具や調度品も、高級車もひとたまりも無い。家ってこんな軟いモノなのかと思って観た人も多いことだろう。

ちょっと話が変わるように見えるけど、最近町に熊や猪や動物たちが降りてくる。餌の問題、里山の問題、いろいろあるが、どれをとっても人間の強欲から来ているのではなかろうか?少し、人間、自分を見直す時期に来ているのだと思う。ヴィトンだのエルメスだの、ベンツだのと言っていられない!

私個人でも昨年来、いろいろと壊れだしたものがある。
ふたつのバンドで趣味でドラムを敲いているが、親友と共に大学生の頃に作り、爺になって作り直したバンドが休止した。人間関係か、金銭関係か理由も判らないままに。
16年も付き合いのある愛車の電気系統が壊れた。原因を掴むのは、電気系統の場合難しい。特に車がコンピュータ化されてからは、素人には手の施しようが無い。私には、車の名医が付いているので、任せている。これが完全に壊れた時、運転をやめようと思っているが、車はドラムを運ぶためにまだ必要だ。

そんな心配をしてるより、自分の頭や躰が壊れないように気をつけることが、どうも緊急課題のようなのだが……。