老いの悲劇 | 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 464

老いの悲劇

ロシアの独裁者プーチンのせいなのか、はたまたコロナのせいなのか、私は前者だと思うのだが、物価の上昇が老人には堪らなくひびく!

まず電気料金等の必需品、この冬の寒さをしのぐために部屋を暖めたいのだが請求書を見ると他の方法を取らねばと考える。今まで私は冬でも長袖の下着を着なかった。が、これも致し方ないので冬のバーゲンを調べて、清水の舞台から飛び込むつもりでユニクロの長袖のヒートテックの下着を2枚買い込んだ。790円×2だ!以前から持っていたヒートテックのTシャツと2枚重ねをして暖房に頼らずに凍死から自分の身を守るしかない!

ひとこと言えば、誰が言い始めたかは知らないが老人は金を貯め込んでいると言った御仁がいるが、それは、ほんの一部に過ぎないだろう。殆どが今までもほんの僅かな小遣いで暮らしていると思うのだ。老人だって若者より金がかかる部分がある。75歳くらいが平均健康寿命と言われているが、ドンピシャそのころになると医療費が莫大にかかる。薬だって腹が一杯になりそうな程に買わねばならない。好きで食っている訳ではないのだ。楽しく吞んでいる訳でもない。吞まなきゃ死ぬ、呑まなきゃ血圧が死線をさまよう程に上がる。呑まなきゃ、目が見えなくなったり、足を切り落とせねばならない位に糖尿が悪化する。小遣いだったものが、病院の支払いに回るのだ。

テレビのニュースを観ているとユニクロが社員の給料を40パーセント上がると言う。おいおい、俺たち貧乏老人、生活困窮老人から巻き上げておいて許せねぇ!大手企業も4パーセントだの5パーセントだの景気のいい話をしている。東京都の都庁にいる独裁者は、少子を防ぐために18歳までの者たちに大枚をばら撒くと言う。それはそれでいいことだと否定はしないがね。こんなに物価が上がっているのに、年金は下がる!どうせ物価の上昇に合わせて年金も上げるが、国に金が無いから下げる。役人の詭弁が聞こえそうだ。年金は、ちゃんと払ってきたのに「どこに行ってしまったのだろう?」きっとあの時、国が金儲けを企て大損をした。なんで、そのツケを今の老人が負わなければならないのだろうか?

お国のトップさん、東京都のトップさん、少子化の原因が日本の老人対策にあることも知っておいてくれろ!外国の街並に、その国の老夫婦が腕を組んでテラス席でお茶を飲んでる姿がテレビ画面に映るのを!あんな光景が日本であるかい!あんなゆとりが日本の老人にあるかい!80歳に近い夫婦だって、妻はパートに行って居ない。夫だって工事現場でヘルメットを被って赤い棒を振っている。そんな姿を見ていたら、結婚願望もなくなるだろうし、子供の将来も絶望視するよ!少子化になるのは、当たり前だ。老人が楽しそうで、嬉しそうで居れば、自分達だって、子供達だって、幸福になれると感じれば、少子化なんて過去のものになる。この国に、模範が無いのだ!老いて、縁側でお茶の一杯も飲みながら、庭の花を愛でたり、小鳥のさえずりを愛でたり出来ない国なら、この世に生れた子たちでも、もっと良い国に行ってしまう!