傲慢は、悪に繋がる | 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 423

傲慢は、悪に繋がる

『悪魔が来りて笛を吹く』という横溝正史の小説がある。私は、横溝正史の金田一耕助シリーズの中で大好きな作品だ。1951年11月から『宝石』で連載、映画にもなった。
海外のミステリー小説の好きな私は、小学生高学年からお小遣いを貯めてハヤカワ・ポケット・ミステリー文庫を買い込み、E・S・ガードナーの『ペリーメースン』シリーズやエド・マクベインの『87分署』シリーズ、アガサクリスティーの『〇〇の殺人』シリーズ、フレミングの『007』ジェームズ・ボンド・シリーズを全て読んだ。マセタ子供だった。
あまり日本の小説には、興味が無かったが『ゼロの焦点』、『点と線』他、松本清張のさんの作品は、だいぶ読んだ。清張さんの作品で一番好きだったのが『高校殺人事件』である。清張さんの小説には、現代版「お主、悪よのう!」のような政治家が出てくる作品が多く、小学生高学年の私にとっては難しすぎた。
次に嵌ったのが横溝正史の作品だった。この頃の日本のミステリー小説には、終戦後の貧乏国日本や高度成長を成し遂げようとする“傲慢な日本人”の姿が書かれたものが多かった。ライブで生きている私には「なぜ、それが悪いのか?」わからないでいた。

今考えてみると大東亜共栄圏構想など旗印にアジア全土をまとめて、そのボスの地位を得ようとした日本人の傲慢さが太平洋戦争に繋がり、国民は辛い思いをした。もちろん歴史は、どこで話を切るかで側面が変わる。資源を持たない日本は、欧米諸国が石油を止めたからだと言う。が、そのために近隣諸国、特に朝鮮半島の国々の人たちにも迷惑をかけたし、中国に満州国を作り領土にしようとして隣国にも迷惑をかけた。“いやいや歴史認識が違うよ”という人が居て当然だが、他の国に迷惑をかけたことには変わりない。傲慢が悪をもたらしたのだ。

北京オリンピックの女子フィギュアで、ロシアのカミラ・ワリエワ選手のドーピングが問題になった。「天才も一人の少女だった」と書いた新聞もあった。ショートプログラムで上位に着けていた天才少女は、フリーで、2種類の4回転ジャンプとトリプルアクセルを組み合わせた高難度に挑んだが散々だった。ドーピング疑惑を抱えた15歳の少女を世界の目に晒すのは如何なものであろう。幼気な15歳だから疑惑があっても出場はさせると判断した国際オリンピック委員会IOCの判断の酷さに腹が立つ一方、ロシアの大人たちの傲慢には、呆れるばかりだ。

たった77年前に白旗を挙げた日本に「まだ講和条約が締結していない」という傲慢な理由で日本の領地を取り上げ、未だに変換しようとしない国、ロシアだ。アメリカは、防衛のためという理由を付けて居残りはしたものの沖縄を変換した。ウクライナにロシアが進駐したら、ドーピング疑惑は“疑惑”ではなくなる。各国の人が、ロシアのやりそうなことだと言うだろう!ロシアは、自分たちさえよければ何をしても良いと考える国ともされる。国も国民もただの傲慢な、最悪な人々だとね。