儒者の家系 | 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 283

儒者の家系

『広辞苑』第4版(岩波書店)の1226頁3段目にある「儒学」の項を引いてみた。

孔子に始まる中国古来の政治・道徳の学。諸子百家の一。併し、後漢に五経などの経典が権威をもち儒家が重用されるに及んで、他から抜きんでた。六朝・隋・唐代には経典の解釈学は進んだ反面、哲理面で老荘の学や仏教に一時おくれをとったが、宋代に宋学が興り、特に朱子学による集大成を見て以後は、清末まで中国思想の主座を占め続けた。その間、朱子学が体制教学化する一方、明代中葉以降、王陽明を始め朱子学の批判・修正を通じて多くの儒家による学理上の革新が続き、清末の共和思想にも及ぶなど、思想史上、見るべきものがある。日本には応神天皇の時に「論語」が伝来したと称せられるが、社会一般に及んだのは江戸時代以降。と、ある。

「解るかな~ぁ!判らねいだろうな~ぁ!」よくこんなことを言っていた芸人がいた。因みに、ここに出てくる応神天皇は、第15代の天皇で、次代は、仁徳天皇である。応神帝の時代に、渡来人によって「千字文」と「論語」すなわち「漢字」と「儒学」が中国から日本に伝わったらしい。4世紀末から5世紀初頭の話である。
私の家系は、肥後熊本菊池に住む藤原一族だった。藤原菊池と名乗った一代もいた。菊池は、勤皇の武士一族で、平家、源氏と付き、北条に付いた。天皇を守るのが、志であったから時の権力に付く必要があった。

山の上から小田原城を見降ろした秀吉は、供に付いた家康と連れ小便をしながら「もう小田原城は、落ちる」と言ったそうな。北条氏康を守りながら逃げた武士11名の中に菊池がいた。結局北条は、破られるのだが、勤皇の武士は首を刎ねられることはなかったようだ。高野山で、刀を置き、坊主となった。その後、京都に住まわったこの一族は儒者として「儒学・朱子学」の先生の家系となっていく。高松藩は、水戸の徳川家である。水戸の朱子学は、有名であった。私の先祖は、高松城に入った。

天地が引っ繰り返る明治維新後に生まれた祖父・菊池寛の書く小説の太い筋に、この封建制を支えた儒者一族の学問と、自由を主張する明治を天秤にかけた作品が多いのに、最近気がついた。『父帰る』も『恩讐の彼方に』も、『入れ札』『忠直卿行状記』にも天秤の重りは多少違うが、この天秤が読みとれる。なんて昨年の暮れに高松で講演して来た。その会場には、私が知っているNHKのプロデューサーも来ていた。
先日、私がよく行く赤坂の喫茶店でこのブログに書くことを考えていたら、仲間から声をかけられた。何日か前の夜、私が言っていたようなことをNHKの夜中のテレビ番組でやっていたようである。私は、残念ながら見ていない。
お主、パクッたか!

 


追伸・読者の皆様へのお知らせ

■ラジオ番組
私の祖父・菊池寛の著作『満鉄外史』(原書房刊)がNHKラジオ第2で全40回にわたって朗読されます。タイトルは、朗読「菊池寛~満鉄外史~」です。放送日及び再放送日、番組ホームページ(NHKラジオ第2文化番組)でも聞けます。日時を列挙いたします。お時間のある方は是非に!

放送日:6月3日(月)~7月26日(金)
午前9時45分~10時の15分間
再放送:6月8日(土)~毎週土曜日
午後9時45分~11時(月~金一挙放送)
NHKラジオ第2 文化番組ホームページ
https://www4.nhk.or.jp/roudoku/

 

■講演会
①令和元年 7月15日(月曜日)午後1時30分より
場所:山形県鶴岡市 鶴岡公園内 荘内神社参集殿
演題:「菊池寛 仇討小説の裏側」
主催:鶴岡市立藤沢周平記念館
入場無料 葉書で当記念館に応募 定員200名
締切:6月20日消印有効

②令和元年 7月27日(土曜日)午前11時より
場所:高松市菊池寛記念館ホール
香川県高松市昭和町1-2-20 サンクリスタル3F
お問い合わせ:高松市菊池寛記念館
電話 087-861-4502
詳細は、高松市菊池寛記念館ホームページにて
http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/kurashi/kosodate/bunka/kikuchikan/index.html