春だ!春なんだな~♫ | honya.jp

閉門即是深山 76

春だ!春なんだな~♫

スタタカタントト トトトン ドドドド ドンドドドドドン スタタカタン♬
タタトントンドド ウドド タタトン♪

音で伝えられないのが、残念です。
昨年の春、このブログに書きましたが、ずいぶん上手くなったでしょ?

あのとき書いたように、私は、18歳でロックのバンドを始めました。当時は、ピアノやバイオリン、ギターの教室はありましたが、ドラムの教室はありませんでした。外国のバンドが来ると飛んで行き、演奏方法を学びました。が、彼らは、超一流のプロですから真似しようもありません。
私は、基礎もなく、見よう見真似でドラムを敲<たた>いていました。基礎が無いのは、後になってこたえてきます。曲が難しくなると弾けないのです。
それでも、楽器さえそこいらに無い時代ですから、楽器を持っていれば、アルバイト先は沢山ありました。なにせダンスパーティー・ブームです。今でいえば、300人、500人規模の集団合コンです。チケットは、200~300円くらいで各大学のサークルにお金は入ります。お客は、チケット1枚でワンドリンクサービス、もちろん追加の飲みものは現金で買えます。これもサークルの収入源でした。演奏するバンドは、2つくらいでした。ロック、ジャズ、スタンダードとハワイアンバンドです。とにかく、お客も大学生から会社に入りたてくらいの年齢、おませなのは、中学生や高校生がVANやJUNの服を着て多少大人の顔をして混じっていました。
演奏する方は、客にガンガン汗をかかせたあとにくっ付けさせればいいのです。

時代は、昭和40年の初頭、西暦では、1965年のころでした。今から50年も前のことです。初任給は、月給2万円にはまだ達していないころだったでしょうか。きっと現在の40代の方々のご両親の青春時代だったでしょう。
若者は、大学のダンパで遊び、大人たちは、開店したばかりの赤坂のムゲンや六本木のミスティーに通い始めたころの話です。このころの赤坂、六本木派は、今では、もう80を超える歳でしょうね。
そう、R&Bが流行りだしたか、ちょっと前か。R&Bは、リズム&ブルースの略です。今からたった50年程前のことでした。
我々は、バンドをつくり、お金を払う側ではなく、貰う側に廻ったのです。いや、儲かった。たぶん、アルバイト料は、そのころの新人サラリーマンの給料を上回っていたのではないでしょうか。全員、すぐに楽器のローンを返し終わり、自動車を買い、乗りまわしていました。アルバイトが終わるとストレス発散するために飯倉のサパークラブで集まりました。皆会員になっていたクラブです。豪勢なものでした。金を金とも思っていない時代でした。ダンパのステージは、目黒パークレーインズが多かったようです。目黒不動の傍にあったボーリング場の地下にあったホールです。それに、赤坂プリンスホテルのホールも多かった気がします。どちらも現在は、なくなってしまいましたが……。

ハワイアンは、「小さな橋の下で」や「南国の夜」が定番でした。我々は、ベンチャーズやスプートニクスなどのロック「ウォーク・ドント・ラン」や「ワイプ・アウト」などを弾きます。また“くっ付けるため”のスローテンポのバラードでスタンダードのジャズを弾きました。
舞台の上では、お客を見ながら晩飯を賭けます。あの娘とあの男をくっ付けてやろうぜ!と目配せしながら。舞台からは、ホールがよく見えるのです。他の客に隠れて踊りながらキスでもしている連中も、舞台からは、バッチリ見えます。よ~し、唇が腫れるくらいにしてやろうぜ!目配せが、来ます。それからは、スローバラードの連続です。それも雰囲気が盛り上がるくらいの“ネットリ”した曲です。
バンドは、2つくらいが、45分を二交代。こちらも遊んでいるようですが、かなり疲れます。

昨年、平均年齢60歳半ばという「レッド・シューズ」というバンドに入りました。リードギターは、若いころのバンドのリーダーで、ドラムがいなくなったので参加しないか?と声が掛かったのです。彼も私と同級生なので、そろそろ70歳です。これを機に基礎からドラムを習おうと、私は、ドラム教室に昨年春から通い始めました。教室は、マンツーマンで月に2度あります。また、個人練習は、月に13回以上はやっています。それに、バンドの練習が、月に2度あります。昨年春から始めて200回も、練習をしている計算になります。
自分の健康、ドラムは両手足をバラバラに動かすのでリハビリに適しています。

先日の練習のミーティング後、新曲を足そうということになり、何の曲をやりたい?と皆に聞かれました。新参者が、と今まで遠慮をしていましたが、オーティス・レディングの「ドッグ・オブ・ザ・ベイ」とザ・テンプテーションかオーティスの「マイ・ガール」をやりたかったので、言ってみました。今、譜面と曲源を皆で揃えている最中です。70歳に近い男ふたりと自称ババたちのR&Bの初挑戦です。なぜ、今、オーティス・レディングを選んだのかって?
浅田次郎氏のエッセイに「オーティス・レディングのドッグ・オブ・ザ・ベイが自分は大好きだ!」と何ヶ所も書かれていて、思い出したからです。最近、忘れっぽくなり曲名が出てこなくなったのです。ドラムも譜面を見ないと、覚えていられないのが困ります!さて、練習に行って来ます!春の風に乗って~!