これで良いのだ!| 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 240

これで良いのだ!

眩しさに、ふと目を覚ましたら朝の5時だった。まだ、やっているかしらん!寝ぼけ眼で居間に行き、テレビを点けたらピッチに動く選手が映り出された。ボリュームを下げて、画面を観ると2-2の数字がある。えっ、2点入れることが出来たんだ!

その前の日の夜のニュースで、ベルギーのスポーツ番組を取り上げていた。5~6名のベルギーの人の座談会で、サッカーのロシアワールドカップの話をしていた。司会者が「日本は?」と訊くと、ひとりの老人が嘲笑的な笑みを交えて「日本は、自然が美しい国だ」と答えた。サッカーの相手としては、眼中に無いと言ったのだ。誰かが「ベルギーは、二軍で良いんじゃないか!相手が日本なら主力選手を休ませた方が良い!」と言った。私は、ふたりのこの言葉にカチンときた。

日本のサッカーの歴史は、まだ浅い。私が通った学校は、創立の頃からサッカーをやっていて、私が小学一年生の頃、授業が始まる前、休み時間、放課後も生徒全員がドップリとサッカーに浸かっていた。もちろん体育の授業もサッカーが多かった。サッカーの全国大会の中でも強い学校だったのだ。65~66年前の話である。日本でもやっとサッカーが注目されるようになったのは、この何十年くらいであろう。ブルドーザーのような選手が何人もいるベルギー相手に、2点も入れたのだから強くなったものだと思う。最後1分~2分前にブルドーザーのようなベルギーの選手のカウンターによって無情にもボールが日本のゴールに入ってしまったものの、ベルギーの選手も必死であった。けして二軍では無い名選手たちは、日本も強いと思ったに違いない!勝ち負けは、勝負である以上大切なものだが、ベルギーのテレビに出て「自然、云々」と言った爺様がどんな顔をしたか溜飲が下がる思いがする。

戦いは、落とし所を見つけるものである。歴史の無い国が、なかなかベスト8には入れない。しかし、16位では無いのだ。負けたチームは、全て9位と言っても良かろう。世界の9位に日本も入れたのだ。ポーランド戦で一敗した時、パス回しでコロンビアとセネガル戦の行方を待った西野朗新監督の采配が良かったのだ。サッカーには、いろいろな勝ち方がある。ヨーロッパのサッカーを観ているとこれもよくある手である。西野監督は今回で、日本のサッカーを世界レベルにしてくれた。賞金金額でもベスト32位とベスト16位では、約6億円近くも違う。このお金で、今後の選手の強化も出来る。また、世界上位のベルギーと戦うことも出来た。こんなチャンスは、またと無い。体験勉強が出来た。なによりも日本国民を1日余計に楽しませてくれたのだ。選手も長谷部や本田など名選手が育った。彼らも今回が最後になるようだ。よく頑張ってくれたと思う。次回は、香川、長友はもとより、吉田麻也、柴崎や乾、原口たちの時代が来る。
サムライブルーよ、頑張れ!