豚マン | 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 472

豚マン

私は、どちらかと言えば餡マンが好きだ!餡マンと言わず、あんこが好きなのだろう!
私の子供の頃は、チョコレートなんて洒落たモノは、わざわざ出かけなければ売っていなかった。駄菓子屋にも、お菓子屋にも売っていた記憶がない。フィンガーチョコやキッスチョコなどは、池袋や目白まで行かないと売っていない。そばのお菓子屋でカステラのようなもので餡子を挟んだシベリヤとか、コッペパンにジャムやチョコレートクリームを挟んで売っていたり、アイスキャンディーの小倉やチョコが売っていたり、ラムネ菓子やえび煎餅にすもものクリームなどを挟んで売ってくれたり、最中に挟んだ小倉アイスを売っていたりしたが、ほとんどが餡子の菓子が多かった。餡子飴もあった。食べると歯にぬめ巻き付き、下手をすると歯が抜けるほどの飴である。子供の頃からお菓子といえば、餡に繋がっていた。私の友人でコロナが流行りだしたころ天国に逝ってしまった徳光の兄貴、テレビでバスの小旅行、ZZZZと居眠りをする徳さんも、同じ世代だからチョコレートより餡子に眼がないようだ!

最近は、けっこうマーケットやコンビニで豚マンを売っている。しかし、常に品切れなのが餡マンのだ。人気があって品切れだとも思えない。売れないから名前だけ残して置いていないのだろう。餡マンが無いのは、泡の無いビールと同じ、電池の入っていない懐中電灯と同じだと私は、思う。

コロナが流行って、土曜、日曜の家人の休日日でも息子から外食をするなと、御触れが出た!で、近くのスーパーで弁当を買うようになったが、飽きてくる。そこに五十番の豚マン、餡マンセットを発見した。今は、蒸し器などは家にない。しかし、チンで出来るらしい。一袋豚マン3個に餡マン2個が入っている。なんと中途半端な数だろうか?これじゃ豚が偉くて、餡が添え物か?と疑いたくなるのだが、決まっているからしょうがない。そのうち、私も豚マンまで手を出すようになった。本当は、先に書いたように餡マンないし黒胡麻マンの方が好きなのだが、豚マンも食べられるようになっていた。これで、嫌いな食べ物は、海鞘とホッケだけとなった。

デカい肉マンで有名な五十番という店は、神楽坂にある。何かの差し入れの時に、ここの肉マンを買って行くと喜ばれる。自分では食べなかったが、喜ばれるから買ったことが幾度もあった。

先日社主が大阪に行った時、知り合いから、ここの豚マンは旨いぞ!と言われたらしい。社主も昔、豚マンを食べて吐いたことがあったと言った。長持ちさせるために薬品を混ぜていたのに違いない。社主もダメ、私もダメ、でも食べてみようということになり、大阪で買ってきた豚マンを食べてみた。東京のモノとは違い、皮が甘い。本場の中国では、万頭は甘いと聞いたことがある。
その豚マンは、本当に美味かった!
豚マンだけで、長々と書いてしまう私も何だが、豚マンだけの話を最後まで読んでくださった読者は偉い!誰が言ったか忘れたが、あんたは、エ ラ イ !