原田大二郎さん | 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 320

原田大二郎さん

昨年の11月頃だったか、原田大二郎さんから電話をもらった。
原田さんは、私より2歳年上で明治大学法学部を卒業して文学座に入った。誰でもが知っている俳優さんだ。と、言っても顔と名前が一致しない方がいらっしゃるのも世の常だから、幾つか出演されたテレビドラマや映画、舞台をここに書いてみる。読者も「あ~ぁ!あの人か」と、思い出されるかも知れないからだ。

まずテレビからだ。『Gメン75』。
飛行場の滑走路にGメンたちが横一列に並んで、こちらに歩いてくる所から始まった。背景には、このドラマのテーマ曲で川上大輔が歌う『面影』が流れてくる。私は、以前からこの曲が好きで、今でもスマホの中に『面影』を入れてある。私の記憶では、女性が歌っていたと思ったのだが、調べてみると歌手川上大輔とあるのでカバー曲かと思った。買う時に『試聴』とあったので聴いてみると、どう考えても女性の声である。私の勘違いで、てっきり女性が歌っているのだと長年思っていたに違いない。「いつか来た道~」から始まる歌詞で、街角や想い出という言葉が入り恋歌であった。ということは、この連続ドラマが好きで観ていたのだろう。
ともかく、あの滑走路で真ん中に丹波哲郎を挟むようにして歩くGメンたちがカッコ良かった。今の超人気連続ドラマ『相棒』のようなものだった。並ぶGメンたちの中に女性がひとりいたが、誰だったろう。そのGメンの中に原田さんがいたのだ。

次は、1980年頃の『鬼平犯科帳』、萬屋錦之介が鬼平を演じていたころだろう。
『おしま金三郎』や『梅雨の湯豆腐』、『霧の七郎』に原田さんが出演していたと聞いた。私もその後だが、雑誌編集者として池波正太郎の『鬼平犯科帳』の担当を長いことしていた。原田さんは、1972年のNHK大河ドラマ『新平家物語』で平重盛役で出演している。重盛は、私のルーツ一族との由来がある。

映画では、井上靖原作『敦煌』、つかこうへい著『蒲田行進曲』、森村誠一著『野生の証明』に出演、私が絶対に観のがさなかった『月光仮面』にも出ていたのだ。舞台は、『夏の日の夢』、『十二夜』、『ジュリアス シーザー』。もちろん、テレビや映画、舞台にとまだまだ沢山出演している。

その原田大二郎さんから、とつぜん私のスマホに電話がかかってきたのだ。一度も、お逢いしていない方である。スマホの画面には、090の局番が出ていたが、名前の欄には何も無い。私は、一瞬騙されているのかと、疑った。が、そうでもないらしい。「12月に入ったら、一度お会いしませんか?」声の主が言う。「は、はい!」私は、答えた。???