Bonjour Tristesse(悲しみよこんにちは!) | 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 302

Bonjour Tristesse(悲しみよこんにちは!)NEW semさようなら!

『ボンジュール・トゥリステ』は、日本では『悲しみよこんにちは』と訳された作家フランソワーズ・サガンが18歳の時、1954年に発表した処女作の本の題名である。1957年に映画化され、ジーン・セバーグが主人公の17歳の少女セシルを演じた。日本でも、1967年に、梓英子がセシル役として主演、テレビドラマになっている。私は、この題名が大好きなのでブログのタイトルに使った。

諸行無常という言葉がある。岩波書店の『広辞苑第三版』を引くと「仏教の根本思想で、万物は常に変化して少しの間もとどまらないということ」とある。つまり1分1秒同じでは無く、変化して行くモノだ!ということなのだろうか。
確かに、毎日見ていると気がつかないが、毎日季節は移り変わっている。同じ通勤に使って行き来している路でさえ、青々していた樹木が黄色に代わって落ち葉となる。えっ、記録的な暑さ?なんて言っている間に、シャンソンの『枯葉』を口ずさみたくなる。タンクトップ姿は無くなり、厚手に着替え、そのうちコートも欲しくなる。去年流行ったメーカーのダウンジャケットは、古いとされ、どこの物か知らないマークのジャケットがうって替わる。春まで細身だったジーパンが太くなり、都バスもデザインが変わる。野原だった場所に、何に使うのか40階に届くほどのビルが立ち上がる。言えばきりが無い!新しいものは、良いものだ!という考えもあるが、全てが同じになってしまうのは、寂しい、悲しい、哀しい!

この10年、週に3回くらい通ってくる赤坂のオフィス。今は、知らないが、私が9時頃に来るとドアにまだ鍵がかかっていた。家人との約束もあって、勤めていた出版社をリタイアしても以前と同様の毎日を送る。朝、家を出て、夕方に帰る。土曜日、日曜日、祭日は、家に居ても良い。この約束は、家人の為と思っていたが、自分の為でもあった。やる事を探さなければならない!毎日行って、他人様に迷惑をかけてもいけない!仕事らしき事もしたいし、趣味を持たねば時間が余る。サラリーマンの時は、会社に出さえすれば、何とかなったが、OBになると自分で探さなければならなくなる。サラリーマン時代は、編集部の出勤が遅いので、家をゆっくりと出た。今は、歳のせいで、目覚めが早く、9時過ぎには赤坂に着く!

そこで考えた、朝早よから開いている感じの良い喫茶店を見つける。そこで、美味しい珈琲と好きな煙草、本を読み、イアーホーンで音楽を聴き、人間観察もし、聞こえてくる商談や身の上話しを耳をダンボにして聴く!これが、仕事でモノを書く時、講演をする時に役立つ。この10年通いつめた喫茶店が、NEW semだった。今の喫茶店は、どこもお仕着せのようなところがある。NEW semは、働いている人とお客との両者が雰囲気を醸し出している。微妙だが、真似の出来ない雰囲気だ!9月20日に閉店を余儀なくした。Bonjour Tristesse!