Taxi | 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 224

Taxi

「タクシードライバー」という歌がある。作詞作曲は、中島みゆきで自分が唄っている。なかなか心に沁みる歌詞である。
忘れたい事を忘れられず、馬鹿騒ぎをして、外に出ると土砂降りの雨。街ゆく人たちは、みんな幸せそうで、自分だけが涙を流している。自分が乗ったタクシードライバーは、苦労人と見えて、泣いている私を見て見ぬふりをしてくれる。そして、彼は天気予報や今日の野球の話を繰り返す。
こんな内容だが、中島みゆきが唄うと素晴らしく良い。この歌詞の「苦労人と見えて」の部分は、今までのごまんとある歌詞の中にあっただろうか。私は、覚えがない。女性の涙の歌は沢山あるが、強く生きようとしている女性の弱音の部分が透けて見えるのがいい。実は、男に共通した部分だから、男女問わずに共感するのではないか。

そう言えば、最近東京でロンドンタクシーのような車がずいぶん走っている。何年か前にトヨタがタクシー専用車を開発していると写真入りで新聞の記事になっていた。先日、仕事で高松や京都に行ったのだが、やはり同じようなタクシーを見かけた。よく見ると、ハイブリッドのマークが付けられている。あのオーソドックスな、いや、むしろ古いと言ってもいいロンドン・タクシーをハイブリッドという現代風にしたところが、日本人らしい。とても成功している。一度乗ってみたいと思うが、現役を引退した今、あまりタクシーに乗らなくなったので、未だチャンスが無い。
東京でタクシー専用車を見るとナンバー・プレートが変わっているのを発見した。今までの営業車は、緑色の板にナンバーが白抜きだったのだが、白字の板に緑の数字である。これじゃ、自家用車と区別がつかないじゃんと思ったが、よく見ると緑の枠で囲んであった。そう言えば、昔の営業車のナンバーは、こうだった。昔に戻った訳である。ふと気がついた。白地の板の部分が虹のように光っている。もの知りに訊いてみると、この虹色のプレートは、東京オリンピック、パラリンピックの援助金が含まれ少々お高いらしい。ボディーにも東京オリンピツク・パラリンピックのシンボルマークが貼ってあった。都庁もオリンピックやパラリンピックのお金のために頑張っているわけだ。

以前、仕事でロンドンによく行った。ロンドンタクシーにもよく乗った。英国にもタクシー会社はあるが、どうもドライバーに車を貸し出す会社らしい。英国では、タクシードライバーは、みな個人営業で、とてもプライドを持っている。免許も難しく、ロンドンの道という道、建物という建物を全て把握しなければ許可が下りないと聞いた。タクシードライバーは、子供たちの憧れなのだ。英国のタクシードライバーは、昔、ナポレオンと同じような帽子をかぶり、錦糸のついたフロックコートを着た有能な御者なのだろう。