夏の日の想い出 | 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 150

夏の日の想い出

「夏の日の想い出」こんな歌がありましたね。日野てる子が唄っていました。
私は、子供のころ、日野てる子が唄う「南国の夜」が好きでした。私の子供のころは、各大学で部活の費用を稼ぐために、よくダンスパーティーが開かれていました。今から思えば合コンみたいなもので、それも赤坂プリンスホテルの宴会場や目黒にあったボーリング場の地下、そうそう、目黒パークレーンズの宴会場、サンケイ・ホール等と大きな宴会場を貸し切ってダンスパーティーが開かれたものです。このことは、以前にもこのブログに書きました。

そのころのバンドは、フルオーケストラが多く、マンボやチャチャチャ、ジルバやスローバラードで、お客は好みの相手を誘って抱き合って踊っていました。私は、早熟、おマセなのか、自由奔放なのか判りませんが、13歳くらいでダンパデビューをしていました。そのころ私は、母からタンゴやジルバ、フォックストロットなど家で教えてもらっていたので、今でいう合コン、昔のダンパ(ダンスパーティー)は、親の薦めで出かけたものです。

まぁ、13、14歳くらいは、別段相手をしてくれる女性だって子供みたいだから怪しいこともありません。あんな健全な時期は、あのころだけだったかも知れません。だいたいバンドは、30分から45分の交代制で、フル・バンドの他にハワイアンが多かったことを思い出します。「小さな橋の下で」とか「ブルー・ハワイ」に交じって「南国の夜」の演奏が始まると連れて行ったパートナーの女の子とムーディーに踊ったものです。
そのうちに自分たちがバンドを組んでダンパで演奏アルバイトをするなんて思いもよりませんでした。

このブログを書きだす30分くらい前に携帯電話に、通院している歯医者から電話があった跡がありました。気が付かなかったのです。こちらから電話をしましたらどうも「今日、10時半に予約を」とっていたらしいのです。「ごめんなさ~い!忘れてしまって、今赤坂のオフィスに来ちゃいました!」先方は、不愉快そうな声で「じゃ、しょうがないですね。ご連絡をお待ちしています」電話を切られました。
ならばと私は、今日打ち上げをする横浜のスカンディアというレストランへのアクセス方法をPCで検索しました。このレストランは歴史がある有名な店です。私は、横浜の地理に弱いのです。そこで「ぐるなび」で溜池山王→横浜日本通りを検索し、また「横浜スカンディア」でも検索してプリントアウトをしました。

打ち上げは、私の属すRed Shoesというバンドが葉山マリーナで他のバンドと共にやったライブの打ち上げ食事会なのです。お婆ちゃんとお爺ちゃん5人の構成バンドですが、スケジュールが合わせにくい。やれ、娘が仕事で忙しいから孫の面倒を見てくれとか、孫が風邪を引いてるけどその日は仕事があるからお婆ちゃんに頼むとか、孫ふたりの風呂を入れてからなら俺、行けるぞ!というお爺ちゃんとか。今どきの年寄りもなかなか忙しいものです。

葉山マリーナの当日は、空模様が危なかった。大きな陸揚げヨットを移し、客席をつくってあるのですが、運動会で来賓用に用いられるようなテントを2つ置いて、その中にギュー詰まりになるくらいの客席を設えてありました。バンドは、クラブハウスの前の大きなベランダで演奏するのです。軒先は出ているけれど、本降りにでもなれば怪しいものでした。
この集まりは、葉山マリーナを自分のヨットの基地にしている人たちが春夏二回行う懇親パーティーです。私は、一級の海事免許は持っていますが、あまり船に興味が無い。ただ、気まぐれに誰よりも早く取った免許なのです。見せて「私はこれでも船長なんだ!どや!」というために取得したようなものでした。そう言えば、昔、作家の逢坂剛さんとイギリスを旅した時、逢坂さんが女船長に英語で「この男も船長なんだ!」と言って、むりやり女船長から交代しろと言われ、テイムズ川を操船したことがありましたっけ。あれが、免許を取って操船した最初で最後だったなぁ。

葉山マリーナのライブには、私のよく行く赤坂にあるサントリー・ホールの向かいの喫茶店「New Sem」のママや働いているひとたち、そしてその店で友達になったひとたち、他総勢10名も遊びに来てくれました。飲み放題、食べ放題、踊り放題、皆さんお客さんたちが楽しんでくれている中で、演奏するのは、70歳になっても楽しいものです。
「音」を「楽しむ」、音楽はそう書きますね!けして「音学」ではないのです。
月に一度メンバーは、新横浜にあるスタジオに集まって3時間練習に励みますが、だんだん合わせる時間が早くなってきました。3回も繰り返し演奏すれば、それらしく聴けるようになったのです。ひとりひとり練習をして集まってくるからで、私も週に2時間づつ2回は自主基礎練習をしています。もうひとつのバンドにも参加しているので、結構音楽三昧の暮らしです。

リードギターは、小学校からのクラスメートで同じ70歳。女性軍も孫の面倒の合間の練習らしいのです。われわれのバンドライブの映像がYOUTUBEに載っているそうです。横浜の山下公園近くのレストラン・スカンディアの料理が美味しかったおかげで、話が盛り上がり、もっとライブをやろうよ!という声が挙がりました。5人の爺と婆は、健康です。健康が楽しみをつくります。
食事の時の話も、病気や薬、家庭の愚痴はいっさい出ません。次は、また全て新しい曲でやろうね!なんて、前向き老人の集団です!