現代のマスコミ批判 | honya.jp

閉門即是深山 13

現代のマスコミ批判

このブログを書き始めてから13本目になる。今回は、私が心療内科に通い始めた経緯を書こうと思っていた。
いや、もう書いていて、もう一度読み直したらこのホームページを動かしているK某子に送ろうと思っていた。T某の体調がすぐれず、現在は、京都在住のK某子がこのホームページを運用してくれている。電子メディアは、どこに居てもできるから素晴らしい。彼女の名前の読み方は、ケーボーシと読む。ただし、中国人ではない。

さて、全て書いて一段落したのだが、テレビのニュースを観ていてイラついたことがあったので、書いた原稿を破棄して、そのイラつきの原因を新たに書こうと思う。もったいないと自分でも思うのだが、イラつきは、私のような高血圧症の人間には良くないから、その原因を書いて“すっきり”したいのだ。

原因は、猪瀬直樹都知事に対するマスコミの姿勢だ。この何週間か、このことばかりだが、テレビのニュースも新聞も週刊誌さえ同じ論調で、氏を批判している。最近のマスコミは、自我が無いのか、全てが一方に向かって走っているような気がする。それは、ジャーナリストたち自身の身を守る手段なのだろうか、同じ方向を向き走りだす危うさ、危険に鈍感になっているのか? 仕事をさぼっているのか? 無知なのか?

私も『文藝春秋』や『週刊文春』を出している出版社にかっては勤めていた。だから、マスコミ人たちの気性は、知っているつもりでいる。しかし、年配者たちが口を揃えていうように、現在のマスコミの体たらくには、驚かされるばかりだ。
皆、同じニュースに飛びつき、同じ方向を向いてしゃべっている。テレビや新聞がつまらなくなるのが判る。皆と同じことをやっていれば商売になるだろうと、マスコミの人間が、ジャーナリストたちが考えたら、世の中はもうおしまいだ。

「情報公開」の問題で、どのマスコミも騒いだ!「表現の自由」「国民の知る権利」を掲げて!しかし、書いていること、表現をしていることが、同じじゃあ、「自由」も「権利」も無いに等しい。一方通行で走っているジャーナリストたちに逆らって、反対方向に向かって走る者は、もういないのだろうか?

猪瀬都知事に対する、議会やマスコミのリンチ、私刑を観ていると反吐が出る。

私が、猪瀬さんに出会ったのは、今からちょうど10年前だった。猪瀬さんがまだ都の仕事に着いていないひとりの作家の時代だった。『文学界』という純文学誌の2002年4月号から2003年12月号まで猪瀬さんは、私の祖父・菊池寛を題材として『こころの王国』を連載されていた。
ある日、社の交換から「作家の猪瀬直樹先生から菊池さんにお電話です」
と、連絡が入った。私は、それまで猪瀬直樹氏は知っていたが、お会いしたことも話したこともなかった。
「夏樹さん、僕が書いた貴方のお爺様の本どうでした?それに、映画化の話しがありましてね、こんどそのプロデューサーに会ってもらえませんか?」
このような話しだった。本は、菊池寛の半生と祖父の私設秘書だった碧子さんの色っぽい物語になっていた。「なかなか、面白く読ませて頂きました!」私は、本音でいった。それが、猪瀬さんと私の付き合いの始めだった。
映画プロデューサーの女史とお会いして話したが、何億もの金が必要だったらしい。
猪瀬氏にもそれだけの金額は用意できないし、話しを聞いても私にも何もできなかった。それから5年後『こころの王国』は『丘を越えて』と改題されて東映系で映画になった。菊池寛役は、私の以前からの知り合いの西田敏行さんだった。試写室での猪瀬直樹さんの嬉しそうな顔が忘れられない。

さて、猪瀬さんと徳洲会との5千万円の問題だが、私は、猪瀬さんが、本当のことを全て言っていると思う。
何年か前、まだ猪瀬さんが副都知事のころ、高松市で講演をしていただいたことがある。高松には、ゆり子夫人と同伴でお見えになった。2日とも私はおふたりに付き添っていていろいろな話しをしたが、猪瀬直樹氏の痛いほどの真面目さに感心をしたものだった。そのとき感じたのは、猪瀬さんは正義感の強い“猪突猛進”型のひとだった。奥さまも非常に真面目な方で、我々の家族とも意気投合して夜中まで話した。
猪瀬さんは記者会見で、自分には選挙費用として3千万円くらいはあった。しかし、石原都知事が急に辞職をされ、石原さんから後継者指名を受けた。だから何としてでも出馬しなければならなかった。初めての選挙で、選挙費用がいくらかかるか判らなかった。3千万で足りた。が、後の金が不安だった。徳洲会が貸してくれるというから「借用書」を書いて借りた。といっている。
もし、私が猪瀬さんの立場だったら同じだろうと思う。ゆり子夫人は、この5月に悪性脳腫瘍で倒れ、7月に急逝された。普通のひとならば、貯金は多くても3千万円くらいだろう。私なんて、その10分の1も無い。持ち合わせの3千万円を全て選挙費用に使って破れでもしたらと思えば、選挙のためではなく、自分の作家としての事務所や秘書の費用や家庭でもしものことがあったときのためを心配しないひとはいない。都知事選に敗れれば、作家に戻るわけだが、長年副都知事をしていて作家業を後回しにしていたから、秘書費も事務所費も大変だったに違いない。それに、急に奥さまが倒られたといっても、何か以前に兆候があったかも知れない。そんなとき、全財産を選挙に賭けるには、不安があるはずだと思う。猪瀬さんは、記者会見でちゃんと全てを言っている。人間の考える「理」に叶っている。なぜ、マスコミは、信じてやらないのだろうか? 石原都政も猪瀬都政も着実に東京を素晴らしく進化させていると私は思う。晴海やお台場、豊洲と美しい町を造ってきた。オリンピック招致にも成功し、これから日本人は、商売に励むことが出来る。

マスコミ人たちは、40年前の美濃部亮吉都政や鈴木俊一都政、20年前の青島幸男都政に東京を戻したいのだろうか? 私は、まっぴら、ごめんだ!