春風亭小朝師匠 | honya.jp

閉門即是深山 129

春風亭小朝師匠

まず、このブログを使って宣伝させてください!
いえ、私の宣伝ではありません。タイトルにした春風亭小朝師匠の独演会のお知らせです。時期も迫ってきました、以前このブログに一度書きましたが、興味はあるが、お忘れになっている方もいらっしゃるでしょうから、しつこく書きました。

4月25日月曜日新宿駅前の紀伊國屋ホールで、6時半(開場は6時)から春風亭小朝師匠の落語独演会が開催されます。タイトルは『春風亭小朝独演会──菊池寛が落語になる日』と付いてます。菊池寛の孫である私は、ぜひ皆様に来て頂いて菊池寛の作品を小朝師匠の声で聞いて頂きたいのです。

もちろん、小説と落語は面白い部分、楽しい部分が異なります。ですから、小朝師匠がどう落語として面白くされるのか、楽しみで私も参ります。演目は、2本、師匠は、そのときまで「ないしょ!」にしたいのでしょうが、私は、知っているのでこのブログにだけは、「ないしょ!」で書いちゃいます。

ひとつは、『入れ札』という私の大好きな作品です。最初は、戯曲として書かれました。国定忠治の赤城山「子分のおめぇたちとも、別れ、別れになる門出だ!見ろ、雁が飛んで行くじゃねぇか!」あのときの話です。さて、子分ひとりを連れて行こうとする忠治に、皆はついて行きたい。そこで、選挙が始まります。入れ札です。面白い、人間味が溢れる話です。きっと皆さんが一度は、経験された話です。うん、うん、と頷くお客様もいるでしょう!
ふたつ目は、『奉行と人相学』という短編です。大岡越前守が知友の山中左膳から無理やり人相学を伝授されることから始まります。お奉行は裁判で人を鑑定し、犯罪の当否を確かめられるからとの無理やりでした。それによって温情と名裁きがおこなわれるというお話です。

もし、ご興味のある方は、春々堂(03-5447-2131)にお問い合わせください!因みに、また聞きでは、チケットぴあ、セブンイレブン、サークルK・サンクス、ローソンチケット、ファミリーマート等のコンビニでも買えるそうです。たぶん、席料は、3500円くらいだと思います。が、また聞きですから、どうぞこれも春々堂なりチケット売り場にお聞きください。

【紀伊國屋ホール】 春々堂主催「春風亭小朝独演会-菊池寛が落語になる日-VOL.1」(2016年4月25日)
https://www.kinokuniya.co.jp/c/label/20160315151500.html

私は、高松在住の方から先日お手紙をもらいました。
一昨年のことです。私が、高松に行ったおり菊池寛顕彰会の方々と喫茶店で、お茶を飲みながら雑談をする機会がありました。
文藝が好きな方々の集まりです。
おのずから文藝談話になりました。
と、言っても難しい文藝論ではなく、今こんな本が面白いね、とかこんなのが売れてるね、くらいのことです。
その後でした。また、高松に私が来る時には、そんな集まりをしようよ、と何方かが仰いました。
それが、昨年現実になってしまいました。驚いたことに、場所は、喫茶店ではなくて階段教室のような100席以上も入る会場で、マイクまで設置されている場所でした。お客さんも50名以上いらしていた記憶があります。
来年もやってくださいね!「NO!」の言えない気の弱い私は、やはり「イエス!」と言ってしまいました。
その時の話は、このブログにも書いたような気がします。

先日来た手紙は、恐ろしいものでした。
その手紙には、3月に高松で催された春風亭小朝師匠の「菊池寛が落語になる日」を聞いて感動し、楽しんだ事、後の小朝師匠のインタビューでもどんなに菊池寛の小説が面白いか力説され、菊池寛の小説をもっと読んでみたくなったかが、切々と書かれていました。その後が恐ろしいのです。今年来高されたおりには、ぜひ「菊池寛の小説について」と題して話してくれ、と書かれているのです。

先日、直木三十五の甥子さんや吉川英治の息子さんとも話したことですが、有名作家の子供や孫が、その作品の全てを読んでいるなんて稀なことではないでしょうか。私の父など、私が子供のころから菊池寛の作品なんか読んでいる姿を見たこともありませんでした。松本清張さんや外国のミステリーは、沢山読んでいましたがね。我々家族は、研究者ではありません。他人から訊かれて恥ずかしくない程度の作品は、仕方なしに読んどくものの、全てを読破している家族がどのくらいいるでしょうかねぇ。家族なんてそんなものじゃないでしょうか。自分が書いて、最初に奥様にかならず読んでもらうという作家は、知っていますが。そんな方だけではないでしょうか。自分の爺さんの全作品を読んでいない私にとっては「菊池寛の小説について」なんて題されて、人前で話すことはできません。恥を自分の顔に塗りたくるようなものです。それに、各社編集仲間が集まっても、担当する作家の作品論なんてしません。あれは文学部の学生だけがするもので、文学論は、全て読んでいるのが前提ですから、人様に恥をかかせるようなものです。

これを書きながら、だんだん腹が立ってきました。この力を利用して、今、高松に「こんなテーマでは、お話ができません!断固、お断りします!」と、手紙を書くことにします。
私は、勉強嫌いなのです!